2週間ほど前のニュースですが、主力銘柄に関するニュースですので記事を書きたいと思います。アルトリアがワイン事業Ste. Michelle Wine Estatesを売却すると発表しました。売却額は12億ドルで、すべてキャッシュで賄われます。アルトリアは手にした12億ドルのキャッシュを自社株買いに充てるとのこと。

この発表で、MOの株価は1~2%上昇しました。市場はワイン事業の売却を好意的に捉えているようです。私もワイン事業抜きのアルトリアにより魅力を感じます。結局、この企業に投資のはタバコビジネスがもたらす圧倒的な利益というのが理由ですので、そこに注力するのが投資家目線では単純明快で良いです。

ただ興味深いことに、アルトリアは歴史的に多角化の道を模索してきました。ミラー・ビール、ゼネラル・フーズ、クラフトと飲食関係の企業を買収してきましたが、ミラー・ビールは何度かの買収を経て現在はABインベブ傘下(アルトリアは株を保有)、ゼネラル・フーズ、クラフトはクラフトフーズとしてスピンオフされ、さらにそこから全世界で事業を行うモンダリーズ、北米で事業を行うクラフト・ハインツ(ハインツと合併)に分かれています。この辺の合併や分離は米国企業のダイナミックさを感じさせる部分ではあります。今回のワイン事業売却を経てアルトリアの事業はタバコとその近傍(ニコチンパウチやマリファナなど)だけになり、改めてコアビジネスに注力することになりました。

かつてはコングロマリット企業が今より多くありましたし、現在はシナジーを見込めない事業は分離するのがトレンドになっています。上記のアルトリアの事業再編もそうした流れを汲んでいるとも考えられますが、いずれにせよ、アルトリアは20世紀後半から言われ続けてきたタバコ事業のリスクや喫煙者減少に対する解決策を今なお見つけることができておらず、結局はタバコを売り続けているわけです。

紆余曲折はさておき、現在のアルトリアは予想PER10倍、配当利回り7.24%と非常に割安です。長期的に見ると訴訟リスクや成長見通しなど不安要素はありますが、この時代に7%の配当が得られる株は稀で、魅力があります。また不景気にも比較的強い銘柄なので、相場の過熱を警戒する投資家にとっても選択肢になります。

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