最終更新:2022年5月15日
この記事では、S&P500の実績PERを短期(1~数年)・長期(数十年)・超長期(1871年~)に分けて見ていきます。短期的なPERの変動を見ることで、現在の市場が過熱しているかどうかを測ることができます。また、長期的なPERの変動を見ることで、どの程度のPERをもって割安/割高とみなすかについての目安が見えてきます。
ちなみに英語圏では、PERではなく"PE ratio"と言われています。
出典:https://www.multpl.com/
↑他にもシラーPEや米国10年債金利などのデータが見られて役に立つサイトです。
S&P500の実績PER:短期
まずはここ数年間のPERを見てみましょう。コロナショックが起きた3月以降、FRBが金融緩和に踏み切ったことに伴い、金利が低下するとともにPERが大きく上昇しました。2020年末の実績PERは40倍と歴史的な高水準に達しました。
これは実体経済がコロナ禍から回復しておらず、企業のEPSが落ち込んでいるにもかかわらず金融緩和で株価だけが上昇した結果ですが、2021年に入ってからは企業の業績も回復しつつあり、PERもそれにともなって低下傾向にあります。
2022年に入ってからはインフレに対処するための金融引き締めを理由に、米国債の金利が大きく上昇しています。それに伴い株式が売られる展開が続いています。
S&P500の実績PER:長期
次に長期(過去30年)の推移を見てみましょう。30年スパンで見ると、金利が低下し、それに伴いPERが上昇してきたことが分かります。しかし、もし今後金利が上昇すれば「妥当な」PERの水準は下がり、それにより、リターンが低迷する可能性があります。例えば、PERが20→10倍に下がった場合、企業の業績が同じでも、株価は半分になります。
この点は株式にフルインベストメントしている投資家は留意しておくべき事項と言えます。ここ30年という枠で見れば金利は低下し続けてきましたが、それが今後も続く保証はありません。
S&P500の実績PER:超長期
最後に、1871年から現在に至るまでの超長期チャートです。金利の上昇/下降のトレンドは数十年単位で切り替わっています。第二次世界大戦後から1980年までは金利の上昇局面で、それ以降は金利は下降し続けてきました。下降トレンドに入って40年が経過していますが、このトレンドが今後も続くでしょうか。
金利は必ずしも一方に動いてきたわけではないという事実は、やはり投資家として頭の片隅に置いておくべきだと思います。この事実を忘れないことが、いつか自分の資産を守ることにつながるかもしれません。
金利は必ずしも一方に動いてきたわけではないという事実は、やはり投資家として頭の片隅に置いておくべきだと思います。この事実を忘れないことが、いつか自分の資産を守ることにつながるかもしれません。
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