投資方法は数あれど、これは確実に良くないという投資方法があります。
それは市場に振り回される、言わば風見鶏的な投資をすることです。
例えば、
1980年代の不動産バブルで、乗り遅れまいと不動産に投資し(→バブル崩壊)
2000年頃のITバブルで、株価が何倍にも膨らんだIT株を見て投資し(→バブル崩壊)
リーマンショックを経験して、やっぱり安定が一番とバリュー株に投資し(→S&P500に劣後)
COVID-19のパンデックによって時代は変わったとNASDAQ銘柄にシフト(→2022年にアンダーパフォーム)
調子が良い企業も、やがて好調に終わりがきます。
調子が悪い企業も、やがて不調を抜け出します。(※ただし一時の不調か、終焉に向かっているのかは見極める必要がある)
仮に、ある企業(または業界)の好調が何十年も続くのなら、その企業(業界)が市場に占める比率はやがて非常に大きくなるはずですが、現実にはそうなっていません。歴史を振り返ると、最も栄えている企業(業界)というのは絶えず変わり続けています。ここには盛者必衰の理がありそうです。
上記の例のような極端なケースはさておき、ここ数年の間で「GAFAMはすごいなぁ→バリュー株からグロース株に乗り換えた→金利上昇でグロース株が絶不調。そのままの方が良かった」という経験をした人は決して少なくないのではないでしょうか。
過去を振り返って、こうすればよかったと言うのは簡単ですが、では、これからはどうしたら良いのだろうと考えると、その時その時に正しい判断をすることがどれだけ難しいか分かります。
例えばあなたは今年暴落したテスラやメタの株を保有しているとします。もうあきらめて売ったほうが良いのでしょうか。来年、米国は不況に入ると言われています。テスラはイーロン・マスクCOE自身が株を売却していますし、彼はTwitterの経営に忙しそうです。メタはメタバース事業が大赤字。そしてFacebookに対する世論の風当たりも厳しいですね。
どちらも先行きは暗そう。もしかして今後も株価が下がり続けるのでは? しかし、市場は極度に悲観的にも思える…。株価を売った後に業績が復活したら大損です。
市場に振り回されることを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。
答えは決して、「10年毎にバリュー/グロース投資を切り替えよう」とか「暴落した石油株は売るな」とか、そういったことではないはずです。それは過去の特定の事例に対して正解だっただけであり、結果論的であり表面的なしか見ていません。
私自身は、投資に際してきちんとストーリーを設定することが大切だと私は考えています。
例えば、テスラに投資するなら、次のように投資のストーリーを描いたうえで投資します。
「2025年に生産台数と利益率が目標値(xxx)に達する見込みだ。実現すれば、株価の適正価格は現在の2倍になる。」
このストーリーが投資の前提条件となります。後はしなければならないことはシンプルで、その前提が崩れていないか確認するだけです。
・生産台数は予定通り伸びているか
・利益率が落ちていないか
これらの点が今も有効なら、前提が崩れていないので撤退は不要です。この投資家の分析が正しいかどうかは別問題です。もちろん将来、投資の結果が出た後で振り返るべきではありますが。とにかく、合っていようが間違っていようが、投資を行う前に自分なりに筋書を描いてみることが必要です。
バフェットの言葉を借りるならば、「合理的かどうかが問題である」ということでしょう。
これは当然、バリュー株に投資する際にも言えることです。もし、あるバリュー銘柄への投資を数年というスパンで行うというのであれば、そのストーリーを描けるかどうかは確認しておかなければなりません。
「適正価格から大幅にディスカウントされており、株価が見直されるはずだ!」
→適正価格はいくらか、現在なぜディスカウントされているのか、その問題はどのように解決され得るのか。
自分で納得できるストーリーが描けたならば投資を行い、数年後に結果が出た際に判断が正しかったか検証する。これを繰り返すことで、投資の実力は上がっていくのではないかと面ます。そして当然、物事を完全に予測することは不可能なわけですから、十分に分散を行い、それと同時に安全域の確保に努めることが肝要です。
コメント