1ドル120円に到達しました。10年ほど前、1ドル80円だった時代に米国株に投資していたなら、為替だけで資産が1.5倍になっています。逆を言えば、ここから円高が進んで120円が80円になったら、資産は大きく目減りします。為替の影響は大きいです。今、米国株に投資してきた人の資産は円安が効いてかなり膨らんでいるのではないでしょうか(私もそうです)。と同時に、これからの円高リスクを警戒する必要があります。

個人的には、この辺でドルを売って円にしておくのも一案だと思います。


短期的には

最近の円安の要因は、FRBの利上げによる金利差拡大です。結果、ドルが買われて円が売られています。アメリカのインフレは今のところ収まる気配がありません。ウクライナ侵攻によってコモディティの価格が高騰しており、これもインフレ要因となります。もしインフレに拍車がかかり、FRBがさらに利上げをすれば、さらに円安が進む可能性があります。個人的な予想でしかありませんが、世界の情勢を見る限りそうなる可能性は高いのではないかと思います。よって、短期的には円安が続くと考えています。しかし、後述しますが、インフレは長期的には真逆の円高要因になります。


中期的には

中期的(3~5年)な予測は難しいです。ウクライナ問題がどのように解決されるか、それによってコモディティの供給状況が変わり、世界のインフレに与える影響が変わります。またFRBがインフレにどう対応するかによっても変わります。上手くインフレを抑えられれば、円安の進行は止まると思いますが、インフレを退治できなかった場合は金利をさらに上げざるを得ず、さらに円安になると思われます。

個人的な予想を述べるならば、円安はそんなに進まないのではないかと思います。経済制裁はしばらく続くと思われます。それによって原油の需要はひっ迫しますが、他の産油国が増産することで緩和する道があります。コモディティについても同様かと思います。また米国の潜在経済成長率が数%の現代においては、そもそも米国で本来のインフレ圧力は高くなく、今が例外的であるのではないでしょうか。(あくまで、個人的な意見です。)


長期的には

長期的には購買力平価説により円高が進むはずです。米国ではインフレで物価がどんどん上がっているのに、日本ではインフレ率はほぼ0です。米国では1ドルの価値が下がっている、つまり1ドルで買えるものが減っている一方、日本では100円の価値が何年もずっと変わっていません。インフレは通貨の価値を希釈させます。米ドルの価値が希釈され、円の価値が維持されるということは、相対的な円高を意味します。

例えば、インフレでアメリカの物価が2倍になった!一方日本では変わらずというケースで考えます。

ハンバーガー1個=1ドル=100円
↓(10年後)
ハンバーガー1個=2ドル=100円

2ドル=100円ですから、1ドル=50円です。物価上昇率の差が為替レートに反映されます。日本が米国を超えるインフレを経験しない限り、この中長期的な円高トレンドは継続するはずです。実際、長期的な為替レートは購買力平価説に沿っています。

ドル円購買力平価

ここに、諸条件による補正が加わります。経常収支や対外投資の大小など。今後日本の国力が低下するならば、経常黒字が減少し(あるいは赤字になり)、対外投資額が減ることで、円安圧力がかかってくると思われます。

購買力平価説で考えると、現在はかなりの円安

今日、6年半ぶりに1ドル120円に達しましたが、米国のインフレを考慮すると、今の1ドル120円というのは6年半前よりも円安です。さらに、リーマンショック前の120円よりも大幅に円安です。そう考えると、現状は円安側にバネが縮みきっている状態とでも言えます。これが円高にむけて一気にバネが伸びるリスクがあります。

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上の画像はPICTETの「円相場が暗示するインフレ」という記事からの引用(矢印は書き足しました)です。この記事は読みやすくておすすめです。

米国株は利上げによって下方圧力がかかっています。さらにFRBの利上げによって為替は円安に振れています。日銀の緩和で、ただでさえ円安だったのに、さらに円安に振れました。しかし、長期的にはインフレによって為替は円高に進むはずです。こうした点を考えると、将来株安&円高のダブルパンチによって資産が大きく目減りする恐れがあります。

これまでは株高に加え、円安による資産増加を享受してきたわけであり、その振れ幅はアメリカ人でドルで生活している人たちよりも大きいと言えます。米国内で暮らすならインフレを割り引く必要がありますが、日本円で見ると割り引くどころか割り増しになっています。だからこそ、日本で日本円を使って生活している私たちは、早めにリスク回避の動きを取る必要があると言えます。