下のグラフは、世界主要市場の1日当り外国為替取引高の推移です。
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出典:為替のきほん

注目したいのは、外国為替取引高が貿易取引額と比べて非常に大きい規模であることです。東京為替市場の一日の取引額は約44兆円(2020年10月)ですが、日本の輸出額は年間で70兆円程度です。その事を考えると規模の差が良くわかります。

ここから言えることは、為替というものは長期的な趨勢はともかく、短期的には実需よりも金利などを要因とした投資・投機的行動によって左右されるということです。最近の円安を日本の国力低下の現れと見る向きもあります。確かに日本はイノベーションが生まれにくく、人口も減少しているため長期的な見通しは暗いですが、それは貿易赤字などを通して長期的な円安圧力として効いてくるのであって、それを理由として1か月で10円も円安に振れるわけではありません。今回の円安は、やはり日米の金利差拡大を主な要因と見るべきでしょう。


話は変わりますが、人間はどうしても今の流れがずっと続くと考えてしまいがちな生き物であるように思えます。例えば、Amazon, Adobe, NetflixといったIT企業が絶好調だった2020年当時に、これらの企業が今苦戦していることを想像できた人は決して多くないはずです。その頃は一方で原油価格が低迷していましたが、原油価格の回復に賭けてエネルギー銘柄に投資できた人もやはり少ないはずです(ロシアの侵攻によってコモディティ価格の高騰に拍車がかかりました。これはさすがに予想は困難ですが、侵攻がなかったとしても、世界の経済活動再開によって原油価格はある程度の水準に戻ったと思われます)。


今後も円安が止まらないのではないか、という雰囲気が広がっているように感じます。確かに1か月後、2か月後はさらに円安になっている可能性はありますが、雰囲気で判断するのとではなく、日米の金利差をはじめとする各指標を参照しながら、妥当な根拠を探していくことが大切ですね。