今日はS&P500を上回るリターンを出す方法を考えてみました。あくまで机上の空論ですので、読み物として楽しんで頂ければ幸いです。そういうわけでカテゴリも「雑談」にしています。
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まず最初に結論を書きます。

現在のダウ平均株価構成銘柄を買って、今後一切入れ替えない

【根拠】
1. S&P500とダウ平均株価のトータルリターンはほぼ同じ
2. ダウ平均株価は、銘柄入れ替えを行わない方がトータルリターンが高くなる
3. つまり、現在のダウ構成銘柄をバイアンドホールドすれば、以下の式が成立しS&P500に勝つことができる

 S&P500=未来ダウ銘柄<現ダウ銘柄

少し詳しく見ていきます。

そもそもの出発点
ジェレミー・シーゲル教授によると、S&P500の当初の構成銘柄のほうが、入れ替えを随時行っていった実際のS&P500よりトータルリターンが高いそうです。

とすれば、今のS&P500構成銘柄を全て個別に買って、その後は本家で銘柄入れ替えがあってもそれを無視してひたすらバイ・アンド・ホールドをすれば、本物のS&P500を上回るリターンを出すことができる可能性があるということになります。

ただ、500もの株を買って管理するのが現実的ではないので、この方法は個人ではできません。

S&P500とダウ平均株価
そう思っていた矢先、このグラフを偶然見つけました。
[図表2]NYダウ/S&P500の推移(過去50年、指数化、米ドル建て) 出所:各種データベースにより著者作成


両社のパフォーマンスはほとんど同じです。S&P500の全銘柄を保有するのは大変かもしれませんが、ダウならできます(たったの30社)。つまり、もし構成銘柄を入れ替えなかった方がリターンが高くなるという法則がダウにも適用されるなら、S&P500ではなくダウで同じことをすれば良いわけです。

ダウも銘柄を入れ替えない方がリターンが高かった
The Real Dogs of the Dow(真のダウの犬)という論文があります。無料ではAbstractしか見ることができませんが、ネットで調査した限り、次のようなことが書かれているようです。

1929年から2006年までの間にダウから除外れた銘柄は、追加された銘柄より高いパフォーマンスを残した。

ということは、「銘柄入れ替えを行わなかった場合の方がリターンが高い」という法則はダウにも当てはまりそうです。ですので、今のダウ構成銘柄30種を買っておき、今後ダウ構成銘柄が入れ替わったとしても無視して保有し続ければ、前述のように"S&P500=未来ダウ銘柄<現ダウ銘柄"となり、S&P500に勝つことができるという仮説が成り立ちます。

どうして入れ替えない方がリターンが高いのか
上述の論文のAbstractには次のように書いてあります。
Regression to the mean suggests that companies taken out of the Dow may not be as bad as their current predicaments indicate, and the companies that replace them may not be as terrific as their current records suggest.
平均回帰性が示唆するところによれば、ダウから除外された銘柄は現在の苦境が示すほど悪くはなく、入れ替わった銘柄は現在の記録が示すほど良くはない、との事。そのため、除外された銘柄は割安になっており、その後のパフォーマンスが良くなるのに対して、新規採用された銘柄は割高になっており、その後のパフォーマンスが悪くなるようです。

本当はバックテストもしたいのですが、時間もリソースもありません。誰かやってくれないだろうか…