かつて日本における投資と言えば、デイトレードのようなチャートを見ながら売買を繰り返すこと、すなわち投機がイメージされた時代もありましたが、最近はS&P500へのインデックス投資などがより多くの人に認知され、米国株への長期投資がより一般的になってきています。


米国株への長期投資の有用性は様々な所で語られていますが、およそ次の点にまとめられると思います。

①7%のヒストリカルリターン
②米国市場への投資という信頼性
③不動産投資と比べて手間がかからない
④インデックスまたは有名企業への投資という心理的障壁の低さ

最後の④について補足すると、アップルやグーグル(アルファベット)といった企業は誰もが知っており、なじみがあります。そのサービスの素晴らしさもわかっています。そうした親しみある企業に投資することで、日本の定期金利また日本企業への投資よりはるかに良いリターンが望めるのであれば、投資しようじゃないか、おそらく私たちの頭の中ではこのような思考が行われているはずです。そうした企業の集合体である米国株インデックスについても同様です。初めて名前を聞くベトナムやメキシコの企業を一から調査するような苦労は不要というわけです。


しかし一方で、長期投資は一貫性と精神力が求められるものでもあります。まず、退屈です。いくら7%の500万を投資したとしても、それが1000万になるまで10年近くかかる計算です。高いレバレッジをかけれらるFXや、一晩で資産が大きく上がるビットコインをよそ目に、日々わずかに価値が上がったり下がったりするその株を、何年も持ち続けなければなりません。


そして、手間がかからず容易に高いリターンが得られるという理由で米国株投資を始めた人にとって恐らく最大のリスクが、暴落時の精神的動揺だと思います。コロナショックを経験した人にはまだ新しい記憶ですが、暴落時には短期間で資産が何割も減ります。当時、ネット上には怖くて証券口座にログインできないと言っている人も見かけました。しかもコロナショックというのは短期間で株価が回復した、どちらかというと短期的なイベントでした。リーマンショックのような本当の不況では、株価の低迷期が長く続きます。米国個別株投資にせよインデックス投資にせよ、株式に投資するというのはそれなりの覚悟が求められるものです。


では、暴落前に株式を売ってしまうのが良いのでしょうか。もし、景気を完璧に読める人がいるのならそれが良いと思いますが、私を含めた殆どの人が不可能でしょう。ここでは、その前提に立って、たとえ株価が暴落したとしてもバイ&ホールドすべきであることに根拠を与えたいと思います。


私は、バイ・アンド・ホールドが優れる本質的な理由は、「企業の保有時間を最大化する」ことにあると考えています。ウォーレン・バフェットが言うように、株式を保有することは、企業を保有することです。そして、私たちが企業を保有している間、その企業は私たちのために事業を行い、利益を稼いでいるのです。つまり、株を保有する時間=その企業が自分のためにキャッシュを稼いでくれる時間であり、この時間を最大限長くとることが利益の最大化につながります。


例えば、ある投資家が短期売買をしており、ESPが10ドルの企業の株を「保有している期間」と「保有していない期間」が1年間で半々だったとします。この場合、この企業が1年間にこの投資家のために稼ぐ利益は10ドルの半分、5ドル分です。株式の保有は究極的には企業の保有です。もしあなたが、ある企業の「半年間オーナーになる」のと「1年間オーナーになる」のを比べたら、どちらが収益が多くなるでしょうか。

結局、株価というのは価格であり、価値ではないということです。たとえ株価が暴落していても、その間も企業は事業を続け、日々利益を上げ続けています。その企業の価値は変わっておらず、むしろ利益を事業や買収、自社株買いに再投資することでさらに価値を上げています。経済が景気後退局面で、株価が低迷していたとしても、企業の価値が上がっているなら、いずれ正しく評価されるときが来ます。その企業が優れた企業である限り、バイ&ホールドを続け、できるだけ長い間その企業のオーナーとして留まり、その利益を受け取る権利を維持することで将来報われるはずです。

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今のトップ企業が今後も繁栄を続けるとは限らないことがデータから分かります。



インデックスにレバレッジをかけた商品もありますが、上級者向けです。



「基本はバイ&ホールド」という考えを発展させると、売却時の安全域という考えに到達します。