スターバックスの株価がかなり下落しています。

半年前に120ドルくらいあった株価が今や90ドル近辺です。3年ほど前、あるいはコロナショックから少し経過した頃の水準に戻ってしまいました。ロシア軍の侵攻によるものではなく、その前の2月時点で95ドル程度まで落ち込んでいます。そして、ここ1、2週間の間にさらに下落し、今の水準になりました。
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年末あたりから急落を始めたSBUX

多くの米国籍企業がロシアでの事業を停止または撤退することを決めています。マクドナルドもロシアでの事業を停止。マクドナルドのロシア事業は利益全体の約10%を占めるようで、株価の下落幅と一致しています。しかし、スタバの場合はウクライナとロシアを合わせても売上全体の1%になる程度だそうです。店舗数で見てもロシアにあるスタバは全部で130店舗で、全世界で30,000店舗以上あることを考えると大したインパクトはないように思われます。

また、スターバックスの2021年のQ4決算は2021年10月末、2022年のQ1決算は2022年2月初めに出ています。急落のタイミングとはずれているので、決算で暴落したのとは違うようです。しかし、S&P500より下げ幅は大きく、市場をアンダーパフォームした原因がありそうです。

SBUX vs SPY
市場平均より大きく下げるSBUX


スターバックスが大きく下げた要因は結局のところインフレだろうと思います。具体的には2つの点で影響があり、第一に、PERが高い銘柄が売られます。120ドルくらいの値がついていた頃、SBUXのPERは30倍以上ありました。インフレ懸念→金利が上昇→グロース株が売られるという構図です。第二に、コストが膨らんでいること。インフレにより原材料費が上昇しています(さらに、COVID-19による労働力不足で賃金も上昇しています)。SBUXは事業内容的にこれらの影響を受けやすいです。

売上は10%を超える成長を続けているようで、こちらに問題があるようには思えません。スタバの事業は変わらず順調ですが、利益が出ずらい環境になっています。スタバのようなブランド力のある企業でも、インフレを完全に価格転嫁することは難しいようですね。インフレが企業の短期的な利益にマイナスになることが実感を持って理解できます。